貸金業者からの借入が総量規制の対象
総量規制の対象は、クレジットカード関連サービスを利用したキャッシングや消費者金融関連のカードローンなど、貸金業者からの個人借入です。総量規制とは、貸金業法で「貸金業者は借入人に対して年収の3分の1までしかお金を貸してはいけない」と定められている制度なので、貸し付ける際には厳しく審査し、借入人の年収や他社からの借り入れ状況も確認しなければいけません。 預金や振込を行う銀行、信用金庫、労働金庫は貸金業者ではないので、総量規制の対象外です。奨学金なども貸金業者からの借入ではないので、対象外です。 クレジットカードの場合、ショッピングでの利用は貸金業法の対象外なので総量規制の対象外ですが、クレジットカード関連のサービスを利用したキャッシングの場合は総量規制の対象となります。したがって、クレジットカードのキャッシングでは年収の3分の1を超える借入は認められません。
総量規制が導入された理由
総量規制は、過剰な借り入れから消費者を守るために生まれました。総量規制のせいで借りられない」と悔しい思いをする人もいるかもしれませんが、そもそも総量規制は借り手を守るために生まれたものです。例えば、年収300万円の人が200万円を金利17.8%で60カ月借りた場合、月々の返済額は55,690円です。年収300万円の人の手取りは20万円程度ですから、5万円を超える金額を5年間返済し続けることは容易ではありません。そこで、無理のない返済を可能にするために作られたのが総量規制なのです。
総量規制を超えた借入はできるか?
ローン業者からの融資は、総量規制の対象となりますが、融資の目的や条件によっては、限度額を超えた借入が認められる場合があり、これを「除外融資」「例外融資」と呼びます。
除外貸付
貸金業者からの借入であっても、総量規制の対象にはなりません。総量規制は、過剰な借入から消費者を守るためのものですが、住宅ローン、自動車ローン、不動産ローンなどは高額で、年収の3分の1を超えるものも多いので、総量規制の対象外であり、”除外 “となります。また、本人や家族が入院し、医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、「高額療養費制度」を利用すれば、保険者から超過分が払い戻されます。ただし、還付は後日行われるため、まずは自己負担で完済する必要があります。その場合、借入金も総量規制の対象から除外されます。
<総量規制の適用除外となる貸付>
・不動産の建設もしくは購入に必要な資金またはその改良に必要な資金の貸付(住宅ローン)
・上記のつなぎ資金の貸付
・自動車購入時の自動車担保貸付(自動車ローン)
・高額療養費のための貸付
・手形(融通手形を除く)の割引を内容とする契約
・金融商品取引業者の行う有価証券を担保とした貸付に係る契約
・貸金業者を債権者とする金銭の貸借の媒介に係る契約
例外貸付
例外貸付とは、顧客の利益保護に支障のない貸付の一種です。返済能力が認められれば、総量規制の基準を超えた借入も「例外」として可能です。個人事業主としての事業資金の借入は、例外貸付の対象となります。
<総量規制の例外となる貸付>
・顧客に一方的に有利となるローンの組替
・借入残高を段階的に減少させるためのローンの組替
・緊急に必要と認められる医療費を支払うための貸付
・社会通念上、緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付
・配偶者と合わせた年収の3分の1の貸付(配偶者の同意が必要)
・個人事業者に対する貸付(事業計画、収支計画、資金計画により、返済能力を超えないと認められることが要件)
・新たに事業を営む個人事業者に対する貸付(事業計画、収支計画、資金計画により、返済能力を超えないと認められることが要件)
・銀行等からの貸付を受けるまでのつなぎ資金としての貸付
除外貸付と例外貸付はどう違うか?
除外貸付と例外貸付は、総量規制の枠を超えた借入を可能にするものです。両者の違いは、総量規制の判定に除外貸付での借入は含まれませんが、例外貸付での借入は含まれることです。例外貸付で総量規制の上限を超える借入をした場合、返済が完了するまで、除外貸付や例外貸付以外の新たな借入はできなくなります。ただし、除外貸付であっても申し込み時に審査を受ける必要があり、新たに借り入れをしようとすると、多額の借り入れが審査に影響する可能性があります。
総量規制の例外貸付としてのおまとめローン
おまとめローン」は、例外貸付の一環として総量規制の対象外となっており、お客様にとって有利な内容となっています。そのため、貸金業者からの借入総額が総量規制の基準に達していても、借入が可能な場合があります。ただし、「おまとめローン」はすべてをカバーするものではなく、以下の条件を満たした場合にのみ例外貸付となります。利用する場合は、金利や返済方法などについて、貸金業者に相談の上、検討してください。
<総量規制の例外貸付となるおまとめローンの条件>
・おまとめローンの金利が、組替前の金利より低くなる
・おまとめローンの毎月の返済額が、組替前の返済額より低くなる
・おまとめローンの担保や保証などの条件が、組替前より厳しくならない
総量規制を超える借入の注意点
総量規制対象外の借入は、複数の借入がある場合や年収の3分の1に近い借入がある場合などに利用できますが、必ずしも誰でも融資を受けられるというわけではありません。次に、総量規制を超えた借入をする際に注意すべき点を紹介します。
安定収入
総量規制を超える借入をする場合は、通常の借入に加え、安定した収入があることが重要です。また、通常の借入では収入証明書類は「場合によっては必要」となっていますが、総量規制を超える借入では必須とお考えください。
返済滞納がない
既存ローンの返済を延滞している方、過去に延滞経験がある方は、免責融資や例外融資であっても利用できない可能性があります。総量規制以上の借入を希望する場合は、既存ローンの返済期日を必ず守ってください。
違法貸付
一般的に総量規制を超えた借入は、除外貸付や例外貸付以外では不可能であり、自由にお金を貸してくれる人がいれば、それは違法業者である可能性が高いです。高利貸しとも呼ばれる違法業者を利用すると、過大な金利請求や個人情報の悪用、強引な取り立てなどが行われる可能性があります。最近では、SNSを利用したP2P融資まで行う高利貸しも存在するため、注意が必要です。また、お金が必要だからといって、給与のファクタリングやクレジットカードのキャッシングなどは違法行為となりますので、絶対に行わないようにしましょう。
まとめ
総量規制は貸金業者による貸付けを対象とし、過剰な借入から消費者を守るために作られたものです。貸金業者による貸付であっても、総量規制に適合せず、除外される貸付が存在するケースもあります。総量規制の範囲内で借入を行いながら、再度お金が必要になった場合、除外貸付や例外貸付に該当するかどうかを確認するとよいでしょう。毎月の返済額を気にしながら新たな借り入れを検討するのであれば、おまとめローンの検討をおすすめします。