自己破産しないためのカードローンとの付き合い方を解説

カードローン利用の結果自己破産する人は増えている

最高裁判所の統計によると、自己破産の件数は、2018年が73,084件、2019年が73,095件、2020年が71,678件、2021年が68,240件となっています。2018年~2021年と比較すると、やや減少していますが、増加した年もあることがわかります。クレジットカードに限らず、お金を借りる人がいる限り、自己破産の件数がゼロになることはないので、今後も変動が続くでしょう。お金に限らず、借りたものは返すべきなのは言うまでもありませんが、無謀にも自己破産を申請する人が増えているのです。このように、自己破産にはさまざまなデメリットがあるのですが、要は生きる上で重大なデメリットがない、ということです。自己破産は社会的に認められていませんが、借金で自殺を考えるほど追い込まれたときは、自己破産や個人再生で借金を減額するのが一番です。

自己破産できる条件

自己破産が認められるためには、まず返済が困難であること、その状況や理由が正当であることを証明しなければなりません。そのため、誰でも破産宣告できるわけではありません。破産宣告をしたくてもできないケースもあることを覚えておいてください。例えば、借金の総額が多くても仕事が安定していて貯金がゼロの場合は、破産宣告が認められる可能性は低くなります。これは、貯蓄があっても仕事が安定しているため、無駄な浪費をせずに生活すれば返済できると判断されるからです。自己破産を申請する際には、現在の勤務先や収入、貯蓄、住宅などの資産などの情報を記載する必要があります。そのため、安定した収入があれば原則的に自己破産は難しいと言えます。正社員でなくても、アルバイトや自営業、時給制の方でも、収入が安定していれば、破産宣告はできない可能性が高いです。自己破産ができる条件は以下の通りです。

・支払不能であること
・借金が非免責債権だけでないこと
・免責不許可事由に該当しないこと

自己破産できないケース

自己破産の条件の中に、「免責・不許可事由に該当しない」という条件があります。これは、自己破産が認められない原因や事実のことで、これに該当すると自己破産が認められます。例えば、以下のような場合は免責・不許可事由に該当します。

・不当な破産資金価値減少の行為
・不当な債務負担をさせる行為
・偏頗行為
・浪費、賭博、その他投機的行為
・詐欺による信用取引
・帳簿の隠滅行為等
・債権者一覧表の虚偽提出行為
・調査協力義務に違反する行為
・財産管理を妨害する行為
・7年以内に免責を受ける行為

自己破産するとできなくなること

一定期間カードローン利用ができなくなる

自己破産をすると、その後一定期間、お金を借りることができなくなります。自己破産によって借金が帳消しになった場合、その情報は信用情報機関に金融事故として登録されます。貸金業者や銀行、保証会社などの金融機関は、申込者の審査の際に金融事故を起こした人には融資をしないので、家や車の購入がしばらく難しくなり、これをブラックリストに載るとよく言います。

クレジットカードが使えなくなる

自己破産をすると、現在持っているクレジットカードは利用停止になり、使えなくなります。これは家族カードにも適用されるので、自己破産後は基本的に現金のみの生活になります。デビットカードはまだ持てますが、クレジットカードのように後払いのような使い方はできません。そのため、クレジットカードから引き落とされる設定にしているものは、支払えなくなってしまうので注意が必要です。

20万円以上の価値のある財産は処分される

破産宣告をすると、20万円以上の資産は処分されます。これは、借金を返せなくなる代わりに、これらの資産を借金の代償として売却するためです。例えば、自動車、住宅、土地、貴金属、美術品など、20万円以上の価値のあるものは一般的に差し押さえられるので、あらかじめ覚えておいてください。ただし、99万円までの生活に必要な現金、衣類、家具などは処分されません。

職業によっては免許停止になる

破産宣告をすると、特定の職業が一時的に停止されます。制限の対象となる職業は以下の通りです。

・士業全般(弁護士、司法書士、行政書士、宅地建物取引士)
・保険外交員

自由に移動したり旅行したりできない

自己破産の手続き中は、自由に移動したり旅行したりすることはできません。絶対に禁止というわけではありませんが、基本的に移動や旅行をする場合は、裁判所に連絡する必要があります。また、許可を得なければ、移動や旅行ができなくなりますので、注意が必要です。

職場や家族にバレる

破産宣告をすると、家族や職場に内緒にしておくことは不可能になります。借金だけなら家族や職場に知られることはありませんが、破産宣告をすると確実に知られることになります。例えば、家や財産を差し押さえられたら家族に知られてしまいますし、弁護士などの職業に就いている場合、一定期間仕事ができなくなるため破産宣告をしたことが知られてしまうのです。さらに、破産宣告をすると、政府の機関紙「かんぽう」に住所氏名が掲載されるので、知人や友人に知られる可能性が高いです。

7年間は自己破産ができない

自己破産を申請した後、7年間は同じ手続きをすることができません。これは、自己破産の条件に「前回の免責から7年経過していること」が含まれているからです。回以上自己破産をしようと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、すぐにできるわけではないことをお忘れなく。

キャッシングで自己破産しないために

なぜ借りるのかをハッキリさせる

カードローンを利用する際には、借りる理由を明確にすることが大切です。なぜお金を借りる必要があるのか」「本当にカードローンを利用する必要があるのか」など、お金を借りる理由を明確にするようにしましょう。現時点で借りる理由がない場合は、カードローンの利用はおすすめできません。例えば、住宅ローンであれば住宅を購入するためのローン、自動車ローンであれば自動車を購入するためのローンになります。カードローンは基本的に借りる理由を問わないので、「生活費が足りない」「遊ぶお金が欲しい」など、どんな理由でもお金を借りることができます。これは利用者からするとメリットなのですが、借入理由が明確でないと、予定以上の金額を借りてしまったり、「返せばいいや!」と軽い気持ちで追加融資を受けたりする人もいるようです。何に使うのかを明確にすることで、本当に必要なのかどうかがわかり、無駄な借り入れを防ぐことができます。

毎月の返済額をなるべく高く設定する

カードローンを利用する際は、毎月の返済額をなるべく高く設定しましょう。返済額は、カードローン会社や借入額によって1000円単位で決められるのが一般的です。しかし、毎月の返済額が少ないと、借金をしていることに気づかないことがあります。カードローンで自己破産をしないためには、できるだけ早く返済することが大切です。また、毎月の返済額が少なく、完了までの期間が長くなると、総返済額が増えるので、なるべく高く設定するようにしましょう。

複数の貸金業者から借りない

カードローンを利用する際には、複数の貸金業者から借りないことも重要です。どうしても他の金融業者から借りたい場合は、今あるローンを完済してから利用するようにしましょう。ローンで返済しようと考えている方も多いと思いますが、それではローンが減りません。そのため、複数の金融業者から同時に借り入れをしている方は、絶対にやめてください。現在、複数の金融業者から借入をしている方は、おまとめローンを検討することをおすすめします。

現在の借入状況や返済状況の把握

また、現在の借入状況や返済状況を常に確認することが大切です。返済が困難な場合は、すぐにカードローン会社に連絡し、借入状況を確認しましょう。借入金額が大きくなると、当然ながら現状から逃げ出したくなるものです。しかし、借金を返済するためには、現実としっかり向き合わなければなりません。また、毎月返済しているつもりでも、返済額のほとんどは利息であり、元本が減ることはほとんどありませんので、常に借入・返済状況を確認することが大切です。

返済計画を立てる

カードローンで自己破産を防ぐには、返済計画を立てることも大切です。返済計画を立てる際には、まず自分の収入と毎月の返済額を把握する必要があります。そこで、収入に対する固定費(家賃、食費、通信費、光熱費など)を把握するために、家計簿を作成することをおすすめします。家計簿があれば、自分の固定費がいくらなのか、返済に回せるお金がいくらなのかを把握することができます。このとき、使えるお金と返済できる金額がちょうど良ければ、これ以上借りる必要性を感じず、計画的に返済していくことができます。

積極的に繰り上げ返済をする

カードローンで自己破産しないためには、積極的な返済を行うことも重要です。ボーナス月や資金に余裕のある月など、毎月の返済資金をカードローンの返済に充てることで、返済期間を短縮し、利息を減らすことができます。利息は借入残高に比例して決まるので、残債を減らしていけば利息の負担も軽減されます。また、手元にお金があるとつい浪費してしまいがちなので、生活に必要な最低限のお金以外は返済に充当するのがおすすめです。

支払条件を見直す

毎月の返済額が負担になるようであれば、素直にカードローン会社に相談したほうがよいでしょう。支払い条件を見直し、毎月の返済額や金利、支払い日を変更することができます。カードローン会社は借金をするくらいならきちんと返済してもらいたいと考えているので、大抵の場合、あなたの要望に応えてくれるはずです。そのため、まずはカードローン会社に相談してみてください。

破産宣告する場合の注意点

破産宣告をすると一定期間カードローンやクレジットカードが利用できなくなるという制約が課せられる

破産宣告をすると、その後一定期間、クレジットカードやカードローンを利用できなくなります。また、その他のローンも組めなくなる可能性が高いです。現在、クレジットカードを利用している場合でも、利用できなくなります。銀行カードローンの場合は10年、消費者金融カードローンの場合は5年で、再び新たな借入やローンが組めなくなります。ただし、逆にこの期間を過ぎれば、これまで通りカードローンやローンの申し込みや契約は可能になります。

銀行カードローンは口座凍結される

銀行系カードローンを利用している場合、破産宣告をすると口座が凍結されます。口座凍結のタイミングは、弁護士と受任通知を送付し、銀行が受理した時点となります。受任通知の送付手続きは、弁護士からの依頼があればすぐに行いますので、早い段階で凍結されることをご承知おきください。口座に残高がある場合は、預けた預金と債務が相殺されてしまいますので、注意が必要です。また、会社からの給与支払いや家賃、携帯電話料金などの引き落とし口座を設定している場合、凍結されると利用できなくなりますので、ご注意ください。

安定した収入を確保する

破産宣告をすれば、現在抱えている借金を支払わなくてよくなります。しかし、生活に必要なお金以外の資産や財産はすべて処分されることになりますので、今後の生活に影響が出る可能性があります。また,非正規雇用の方でも,自己破産後は収入源を確保する必要があり,そうでなければ,さらに借入を重ねることになりかねません。そのため,なるべく早く収入源を確保するようにしましょう。

借金を自己破産以外の方法で減らすには

現在、カードローンの負担が重く、自己破産を検討されている方が多くいらっしゃいます。しかし、自己破産以外にも借金の負担を軽減する方法はあります。現在の状況によっては、別の手続きの方が良い場合もありますので、自己破産手続きを進める前に、個人再生、任意整理、過払い金請求、法人破産など、他にどのような手続きがあるのかを知っておくようにしましょう。

・個人再生
・任意整理
・過払い金請求
・法人破産

個人再生

個人再生は、裁判所から再生計画の認可を受けることで、借金を大幅に減額することができる手続きです。自己破産のように借金をゼロにすることはできませんが、状況によっては大幅に減額することが可能です。減額した残りの借金は、約3年で完済することができ、その後、残りの支払い義務はなくなります。また、自己破産のように預金や住宅、自動車を処分する必要もありません。借金が100万円以下であれば、完全免責の可能性もありますので、自己破産の前に個人再生を検討されることをお勧めします。

任意整理

任意整理とは、借主と貸主が金利の引き下げを交渉する手続きです。債務額を減らすことで原則金利をカットし、その後、和解内容に従って返済することで債務を整理することができます。任意整理は、自己破産や個人再生のようなデメリットがなく、借金を減らせるという特徴があります。借金を大幅に減額できる保証はありませんが、和解交渉がスムーズに進めば、確実に借金の負担を軽減することが可能です。

過払い金請求

過払い金請求とは、貸金業者に対して払いすぎたグレーゾーン金利を請求し、回収するための手続きです。日本では現在、利息制限法に基づき、上限利息が15%~20%に設定されています。しかし、法改正前の出資法では、上限利息は29.2%であった。法改正前の上限利息(29.2%)と利息制限法の上限利息(15%~20%)の差はグレーゾーン金利と呼ばれ、グレーゾーンで支払った金額は過払い金の対象となりえます。過払い金請求により返還される可能性がある方は、以下のとおりです。

・平成22年6月17日以前にお借入れを開始された方
・10年以内に完済された方

法人破産

会社破産とは、経営悪化等により債務の支払いができなくなった会社や、債務超過に陥った会社を清算するために、会社の資産を処分し、債権者に分配する手続きです。残余財産があればすべて清算し、最終的には会社の法人格を消滅させる。会社経営者の方は一人で抱え込みがちですが、少しでも「危ない」と感じたら、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

カードローン破産のQ&A

カードローンを利用したまま自己破産をするとどうなる?

カードローンを利用したまま自己破産をすると、一定期間お金を借りられなくなる、クレジットカードが使えなくなるなどのデメリットはありますが、返済の必要がなくなります。

自己破産の記録が抹消されているかどうかを調べるには?

自己破産の記録が抹消されているかどうかは、信用情報機関に情報開示を請求すればすぐに確認することができます。自分の信用情報が心配な方は、一度信用情報機関の記録を確認してみてください。費用はかかりますが、ネットや郵送で簡単に確認することができます。

まとめ

今回は、カードローンで自己破産しないための対策や注意点、また自己破産後に再びカードローンで借入することは可能なのかについて詳しく解説してきました。自己破産をするとカードローンでの借金の支払い義務が免除されます。もちろん、返済できるのであればしないに越したことはないのですが、すでに精神的に参ってしまっているのであれば、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。弁護士や司法書士は無料で相談に応じてくれるところが多いので、一度活用し、相談した上で、自己破産するか、他の手続きをとるか、完済できるよう努力するか、判断してみましょう。今回の計画を立ててみましょう。