金融事故について知っておくべき知識とその事例【金融事故を起こしたらどうなるか】

金融事故とは

金融事故とは、銀行や消費者金融などからお金を借りて、返済が大幅に遅れたり、不可能になったりして、信用情報機関に異動情報が登録されることです。一般的に、金融事故を起こすとブラックリストに載ると言われていますが、実際には信用情報機関への異動情報の登録のことを指します。

金融事故を起こすとどうなるか

金融事故が発生した場合、その情報は事故情報として信用情報機関に一定期間保管されます。事故情報が信用情報機関に保管されると、クレジットカードの新規発行やローンの新規組立てが困難になります。

信用情報機関とは

信用情報機関とは、信用情報を蓄積・管理する専門機関であり、信用情報機関に加盟する企業から送られてくる信用情報を集約する機関である。信用情報機関には主に3種類あり、クレジットカード会社が所属するCIC(シーアイシー)、銀行が所属するKSC(全国銀行個人信用情報センター)、消費者金融やクレジット会社が所属するJICC(日本信用情報機構)などがあります。信用情報機関に加盟している企業であれば、その機関に登録されている情報を閲覧することができます。

信用情報とは

信用情報とは、クレジットカードの利用履歴や返済履歴、個人を特定するための情報などを指します。例えば、クレジットカードを申し込む際には、通常、氏名や住所などの個人情報の提供を求められますが、これらの情報は信用情報の一部となります。また、クレジットカードの利用履歴や返済履歴も信用情報に関連づけられるため、個人がクレジットカードなどの金融商品をどのように利用しているかを把握することができます。

3つの信用情報機関で異動情報が共有されている

金融事故とは、信用情報機関に登録された移動情報のことを指します。具体的には、返済の延滞など与信判断でマイナスとなる事由があった場合、当該者の信用情報に「異動」の文言が記載されます。信用情報に「異動」の文言が記載されると、金融事故が発生したとみなされる。信用情報機関に異動情報として登録されると、その情報は3つの信用情報機関で共有されます。

異動情報の種類

信用情報機関ごとに登録されている情報は異なりますが、一般的な異動情報には以下のような種類があります。これらの変更情報の種類ですが、ご覧の通り、延滞や債務整理など、ほぼ返済に関わるものばかりです。そのため、返済がきちんと行われていれば、原則的に変更情報として登録されることはないでしょう。

異動情報 解説
延滞 返済期日までに返済がおこなわれず、61日以上または3ヶ月以上経過すると異動情報として登録されます。
債務整理 債務整理(任意整理、特定調停、個人再生、自己破産)をおこなうと、異動情報として登録されます。
代弁返済 契約者の返済が不能になった場合に、保証会社または保証人が代理返済をおこなうと異動情報として登録されます。
強制解約 契約者の信用が著しく低下し、強制解約になった場合に異動情報として登録されます。

金融事故にまで発展してしまう原因

金融事故にまで発展してしまう原因は、ほとんどが多重債務によるものだと言われています。多重債務とは、その名の通り、複数の金融機関からお金を借りていることです。多重債務になると、利息がたまり、返済が滞り、延滞になることが多く、その結果、金融事故につながる可能性が高くなります。

一括請求が届く場合もある

返済を長期間遅らせていると、貸金業者から一括請求の通知が届くことがあります。督促状を受け取っても返済ができない場合、貸金業者は裁判を起こして返済を求めることがあります。裁判所が認めれば、一括請求は法的に認められます。また、債務者が返済に応じない場合でも、財産を差し押さえられることがあるので注意が必要です。

代弁返済

貸主が法的措置を採らない場合でも、お金を借りる際に保証人や保証会社から代位弁済がある場合があります。代位弁済が行われると、信用情報機関に異動情報として登録されます。また、保証会社が代位弁済をした場合、貸主から保証会社に移動するだけなので、借金が消えるわけではありません。

金融事故を起こしたことのデメリット

様々なローン審査に通らなくなる

金融事故を起こした場合、銀行や消費者金融が提供する各種ローンなどの金融商品は、新規に申し込んでも審査に通る可能性はほぼゼロになります。

クレジットカード新規発行や更新ができなくなる

クレジットカードやローンの新規発行ができなくなります。既にクレジットカード等をお持ちの方でも、契約満了時に更新してもらえない可能性が高くなります。最悪の場合、更新前に契約を打ち切られることもあります。

携帯電話やスマホなどが分割払いができなくなる

スマートフォンや携帯電話を購入する場合、分割払いが一般的ですが、それもローンの一種でもあるため審査に通る可能性は極めて低くなります。そのため一括で購入する必要があります。

異動情報は一定期間保存され消えない

信用情報機関に異動情報が残っていると、金融機関などで金融事故があったことが認識されますが、この異動情報は一定期間残ります。もちろん、本人が信用情報機関に請求しても、消えることはありません。したがって、異動情報として登録される前に対策を講じる必要があります。

異動情報の登録期間

移転情報はお客様ご自身で削除することはできませんが、一定期間経過後に削除されます。移転情報の登録期間は次の通りです。

異動情報 登録期間
延滞 ・延滞継続中はずっと登録される
・延滞を解消したと認められた日から1年を超えない期間
債務整理 債務整理をおこなった日から5年を超えない期間
代弁返済 代弁返済が行われた日から5年を超えない期間
強制解約 強制解約が行われた日から5年を超えない期間

JICCの場合はこの通りですが、信用情報機関によって移転情報の登録期間が異なります。例えば、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の場合、債務整理は最長10年間、移転情報として登録されます。

異動情報の有無を調べる

異動情報があるかどうかは、信用情報機関に行って数百円の手数料を支払えば誰でも自分の情報を調べることができます。

金融事故がなくても審査に落ちる理由は様々

開示請求がなされ、譲渡情報が登録されていないことが確認された場合、クレジットカードやローンの審査が否決された場合には、次のようなことが考えられます。

総量規制に縛られている

貸金業法に含まれる総量規制は、年収の3分の1以上の借入を規制する法律です。そのため、貸金業法が適用される消費者金融やクレジットカード会社では、年収の3分の1を超える借入をすることはできません。

年収の3分の1を超えた借入がある

銀行は銀行法上の総量規制の対象外ですが、借入金額が年収の3分の1を超えると審査に通りにくくなる可能性があります。というのも、最近の銀行は総量規制に準じた自主規制を採用し、貸し出しを制限しているからです。したがって、すでに借入金額が年収の3分の1を超えている場合は、審査が厳しくなると考えるのが妥当でしょう。

借入れ件数が多い

一般的に、複数の金融機関から借り入れをする場合、与信審査が厳しくなると言われています。そのため、ローンの申込件数が多ければ多いほど、与信審査で落とされる確率が高くなるようです。

短期間の延滞があった

信用情報機関にもよりますが、61日以上、または3ヶ月以上の延滞があると異動情報として登録されます。ただし、異動情報として登録されなくても、延滞があったという事実は登録されますので、数日の延滞を繰り返すと、審査に悪影響が出る可能性があります。

金融事故にならない事例

金融事故の例としては、金融機関から借入をする際に遅延や債務不履行があった場合です。したがって、金融機関から借入をしなければ、たとえ遅延があっても金融事故にはなりません。

公共料金の延滞

公的な料金は信用情報機関に登録されないので、長期間延滞しても金融事故にはなりません。しかし、これらの料金をクレジットカードで支払っている場合、クレジットカードの料金の返済が遅れて金融事故が発生する可能性があります。

税金の滞納

税金を滞納しても、信用情報機関に登録されることはありません。ただし、延滞が続くと資産の没収などにつながる可能性があります。金融事故の場合もそうですが、基本的に金融事故はローンの滞納や債務整理があった場合に発生しますが、それ以外の場合は発生しません。

金融事故後の賃貸契約について

金融事故を経験した人の中には、賃貸契約を結ぶことに不安を感じている人も少なくありません。それがないと、契約の更新や引っ越しができなくなる可能性があるからです。賃貸契約を結ぶ際には、保証会社や保証人を立てることが必要です。最近では、個人の保証人よりも、保証会社の保証を受けることが一般的になってきています。そのため、保証を受けられるかどうか心配される方は少ないようです。

賃貸契約は可能か

保証人がいれば、確かに賃貸契約を確保できる可能性は高くなりますが、保証会社が絡むと少し状況が変わってきます。というのも、賃貸契約の保証を行う保証会社には、信用情報機関も含まれることがあるからです。そのため、保証会社が信用情報機関に加盟している場合は、賃貸契約の確保が難しくなる可能性があります。

保証会社によっては、信用情報を確認しない場合もある

賃貸契約保証を行う会社のうち、信用情報機関に照会できるのはクレジット会社のみであり、その他の保証会社では一般的に信用情報への照会は行っていません。

まとめ

ローンやクレジットカードの支払いを延滞していることを「ブラックリストに載っている」という言葉で表現することがありますが、ブラックリストというものは存在しないのです。信用情報機関にネガティブな情報が登録されることを金融事故といい、これを「ブラックリストに載っている」といいます。金融事故の原因は多重債務であることが多く、1件でも発生すると融資を受けることが難しくなる。ネガティブな情報は最長で10年間削除されないこともあります。金融事故を起こしたかどうかは、信用情報機関に開示請求をすることで知ることができます。金融事故を起こすと借入が難しくなるだけでなく、携帯電話の割賦契約や賃貸契約など、身近なものにも影響が及ぶ可能性がありますので、しっかりと対策をしておきましょう。